浅海・内湾・沖合領域

調査目的

沿岸海域の主に水深20m以深の浅海・内湾・沖合では、生物生産が豊かです。そこでは、漁業や陸上での人間の開発行為等の影響を敏感に受けやすい領域でもあり、近年の漁業生産は頭打ちとなっています。

私たちは、これらの領域についても、生態系・生物多様性をはかり、保全して、海洋生物資源を安定供給する技術の開発に資する調査を行っています。

  • バイオロギングによる魚類などの行動追跡
  • 計量魚探による浮魚などの現存量推定
  • 炭素窒素安定同位体比を用いた食物連鎖解析および生態系構造の解析
  • 漁場の動態と流れや水塊、餌との関連

調査項目

バイオロギング
(岩礁性魚類の行動追跡)

岩礁性魚類の3次元行動について、魚体に発信機を取り付け、多数の受信機を用いて、追跡し、統合的に解析します。

  • 魚体(腹腔内)に発信器を装着
  • 魚類の遊泳状況の3次元追跡

バイオロギング
(浮魚類・マアジ)

魚体に発信機を取り付け、放流した人工魚礁を含む行動範囲を追跡することにより、遊泳水深や遊泳位置などを解明します。

  • マアジと発信機(ピンガーの外部装着)
  • 遊泳位置解析

計量魚探による浮魚などの
現存量推定

曳航体から超音波を発受信し、計量魚探の記録から、浮魚などの魚群の蝟集状況を把握し、現存量を推定します。

計量魚群探知機(SIMRAD社製 EK-60)

炭素窒素安定同位体比(C-Nマップ)
を用いた食物連鎖解析
および生態系構造の解析

炭素安定同位体比の特徴は植物プランクトンや海藻、陸上植物など基礎生産者で値が異なること、
また、窒素安定同位体比の特徴は食う-食われる間で約3%濃縮されることを活用して、食物連鎖や生態系構造を解析します。

図

漁場の動態と流れや
水塊・餌との関連

湾・灘スケールにおいて、例えばイカナゴを漁獲する漁船の位置を抽出し、流れと漁場の重ね合わせ、
また、クロロフィルと漁場の重ね合わせなどより、相互関係を解析します。

浮泥が多い内湾域での底質調査

エクマン採泥器内設置型のコアサンプラーを取付けることにより、浮泥が多い内湾域での正確な底質調査を実現します。

  • 浮泥
  • エクマン採泥器内設置型コアサンプラー

カイトネットによる
幼稚魚の採取

カイトネットは、船びき網漁業の操業用漁網のもじ網(目合240径)を身網として、網口胴周を10 m、袋網の目合を351μmとし、網口開口装置に軽微な装備で開口可能となるキャンバス生地のカイトを用いて作成しています。採取される魚の体長は4 mmから入網し、漁獲対象サイズの30 mmの採取が可能です。

  • カイトネット
  • 調査の様子

環境DNAによる網羅的解析と種特異的解析

環境中のDNAを解析することで、さまざまな生物に由来するDNAの配列を同時に取得して、得られたDNA配列とデータベースの配列を比較し、相同性の高い生物候補をリストアップし、生息する生物群を推定します。さらに、種特異的なプライマーを使用して、特定の生物の在・不在を解析します。対象とする生物によってはプライマーの設計・合成が必要となります。