湿地 ( 干潟・潮間帯・
サンゴ礁 ) 領域

調査目的

淡水や海水によって冠水する、あるいは定期的に覆われる低地は湿地と呼ばれます。

湿地は、生物の生育・生息環境として重要であり、湖沼、湿原、河川、干潟、マングローブ、藻場、サンゴ礁などが含められます。

私たちは、湿地の種類のなかで、主に、河口域の砂泥底である干潟、岩礁域の潮間帯および暖海域のサンゴ礁の領域を対象として、生態系・生物多様性をはかり、保全して、海洋生物資源を安定供給する技術の開発に資する調査を行っています。

  • 有用二枚貝浮遊幼生の識別
  • 資源魚類・貝類などの成長モデルの開発
  • 二枚貝類の資源を減少させると考えられる自然現象の把握

調査項目

有用二枚貝浮遊幼生の識別

蛍光抗体法によって確実に幼生を検出します。

保全活動をはかる技術の一環として、二枚貝浮遊幼生の供給経路解析を行うための基礎的知見について、蛍光抗体法による幼生の検出の取り組みを進めています。

従来、二枚貝浮遊幼生は形態での同定が困難でしたが、二枚貝浮遊幼生のベラム(浮遊幼生が有する遊泳及び摂餌のための器官)にのみ反応する二枚貝浮遊幼生特異的モノクローナル抗体を用いた同定手法(アサリ;独立行政法人 水産総合研究センター 特許番号:特許第2913026号)により二枚貝浮遊幼生の同定・計数がより確実にできるようになりました。

魚類・貝類などの
成長モデルの開発

水温、塩分の連続観測と対象生物のコフォート解析、さらに、体長と体重の相対生長などから、環境条件による成長の変化を予測します。

図

成熟と栄養蓄積からみた
二枚貝の生理特性の解明

卵巣の成熟状態を発達段階別に追跡することにより生理状態の特性を明らかにします。

図

二枚貝類の資源を減少させる
と考えられる自然現象の把握

ナルトビエイ、カイヤドリウミグモ、カモ類、ツメタガイ、クロダイ、ヒトデ類、アオサ類、青潮貧酸素水塊などが大きく関与しています。
このような現象について情報を集めています。

底質改善のため各所で
実施されている
干潟面の耕うん事例

漁場の保全活動をはかる技術の一環として、底質改善のための耕うんの効果把握を進めています。
これにより、底質改善が必要な干潟等漁場における、耕うんを中心とした保全活動の具体策等の検討が可能となります。